1.孤独死の問題について(質問原稿より)
はじめに、誰にも見取られずに亡くなる「孤独死」、「孤立死」について取り上げます。
孤独死という言葉が広く知られるようになったキッカケは、95年の阪神・淡路大震災だとされています。震災仮設住宅で相次いだ孤独死が広く報じられたことで、その認知が急速に進みました。
とはいえ何をもって「孤独死」とするのか統計的な定義は今なおありません。
このため国も、区も、正確なデータを把握しないまま現在に至っているのが実状です。
しかしながら孤独死の急増を伺わせるデータはいくつも存在しています。
都内の変死者の死因を特定する「東京都監察医務院」によれば、「65歳以上の一人暮らしで自宅で亡くなった人」の数は2002年に1364件となっています。
以後、この数字は毎年増え、2005年には1860人となっています。たった3年間で、3割増という勢いです。
また、かつての公団住宅、現在の「都市再生機構」の統計によれば、「住戸内死亡事故件数」、つまり誰にも見取られず亡くなった人の数は2005年に458件となっています。
この数値も99年に比べて2.2倍増、都内に限ると4倍増にもなっています。
すでに全国的な孤独死の数は、自殺者を上回るとの指摘さえあるなかで、高齢化と独居世帯の増加、雇用の流動化とコミュニティの希薄化が追い討ちをかけるのは確実であります。
そこで何点か伺います。
第一に、区内の実態把握についてです。
午前中の他会派への答弁にあったように、区が把握している孤独死は、本年4月から9月までの半年間に25件です。
これは、各総合支所、安心すこやかセンター、住宅課の把握を合わせた数だそうで、このうち、区営住宅の孤独死は3件とのことです。
実態把握に乗り出した区の姿勢は評価いたします。
しかし「この数値は、鵜呑みにはできないな」というのが私の率直な感想です。なぜなら先行する他都市の数値に比べ、その数があまりに少ないからです。
千葉県松戸市では庁内各課の連携に加え、警察にも協力を仰いでその把握に努めています。結果、人口47万人の松戸市内で把握された孤独死は、2003年に 90件、2004年に95件、2005年に102件です。これは1万人あたり、年2件の発生割合です。一方、世田谷区の把握件数は半年で25件、1万人あたり、年間たったの0.6件です。
このようなことがありえるのでしょうか?
聞くところ区内4警察署に孤独死の統計はなく、一件ずつファイルを見なければ、実数は分からないという対処のようです。しかし正確な把握がなければ、有効な対策を立てることも、その効果を計測することも困難です。
区は実態把握の手法を改善するべきです。
区の見解を伺います。
第二に、孤独死を防ぐ現状の取り組みについてです。
まず、区営住宅・区立住宅の管理について伺います。
11月22日現在、区営住宅は32団地、世帯数は1343を数えます。
このうち単身世帯の割合は45%、単身世帯の約9割が65歳以上の高齢者です。
一方、見守りはといいますと、非常通報設備と生活援助員のあるシルバーピア住宅が高齢単身世帯の3分の2をカバーしています。
とはいえ、残る3分の1…、181世帯にはこうした見守りがありません。
また、区営住宅には任意の自治会があり、その役員などが、管理者であるトラスト街づくりとの連絡役を担っています。
ところが中には自治会のない団地もあったり、自治会はあっても高齢化が進み、住民対応が基本とされる低木の植栽管理さえままならない団地も多いのが現状です。
これでは住民の共助による見守りも難しいと考えますがいかがでしょうか、区の見解を伺います。
また、民間集合住宅、公営住宅の管理についても懸念があります。
国交省が取りまとめている「マンション総合調査」によれば、1980年に26%だった50代以上の世帯主が、2003年には60%にまで増えています。同様に99年に4.8%に過ぎなかった単身世帯も2003年には10.2%へと増えています。
確実にリスク要因は増しているのです。
区にこれら管理についての実態把握はあるでしょうか。現状認識も含めてお答えください。
第3に、今後の対応についてです。
千葉県松戸市の常盤平団地は、自治体、社協、民生委員の協働による、地域ぐるみの孤独死対策で知られています。
異変を早く知るための新聞販売店との協定、緊急対応に備えた「あんしん登録カード」の全戸配布、住民相互の見守り運動など様々な工夫があり、コミュニティの結びつきの強化に重点をいています。
また、行政主導の事例としては、新宿区の取り組みが知られています。
都営戸山団地では、都の巡回管理員の「みまもり訪問」が受けられるほか、区の見守りボランティアの訪問、清掃事務所による自宅前ゴミ回収、月2回の区の情報誌の手渡しが行われており、密度の濃い見守りの派遣で、孤独死を防ごうとしています。
当区も、本年7月に、「孤立死対策検討会」を立ち上げたと伺いますが、この間の検討状況はどのようなものでしょうか。
また、必要度の高い集合住宅を選んで、モデル事業に着手するなどの検討も必要ではないかと考えます。孤独死対策の全体像とあわせて、区の考えをお聞かせください。
この質問の最後に、アルコール依存症と孤独死について触れたいと思います。
一般に孤独死は高齢世帯に多く発生するものと思われてきました。
ところが神戸の大震災後、意外な事実が明らかになりました。50代、60代の壮年男性の孤独死が、高齢者を上回るほど多く、しかもその大半が肝機能を損なっていたことが判っています。
今日、専門家は、震災は埋もれてきた問題を顕在化させたキッカケに過ぎず、アルコール依存と孤独死との因果関係は、全国共通のものだと見ています。
区はアルコール依存症者の孤独死に、どのような処方箋をお持ちでしょうか、お考えをお聞かせください。
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